今回は、目にも鮮やかな黄色の薩摩切子の脚付杯をお買取致しました。
切子とは、ガラスにカット文様を刻み込んだガラスのことで、江戸切子が有名ですが、薩摩切子は、透明度の高いクリスタルガラスに色ガラスを厚く被せ、細かな細工を施したもので、幕末〜明治時代初期に薩摩藩により生産されました。
薩摩藩主 島津斉彬が、近代産業を移入した集成館事業の一環として、外国のガラス製造書物を元に江戸のガラス職人を招くなどして、本格的に取り組み、薩摩切子は発展していきました。そして、大名への贈答用や、篤姫の嫁入りの品としても用いられ、珍重されました。
しかし、島津斉彬の死後は、薩英戦争や西南戦争の影響を受け、明治初期には途絶えてしまいました。
薩摩切子が幻となってから、約100年後、各地のガラス工場・職人・研究家等の協力により、薩摩切子は再興を果たし、現在では、忠実に再現した復元品、その特徴を踏まえた新たなデザインや色の製品や創作品、新作品が生産されています。
今回お買取した薩摩切子は、復元薩摩切子を生産・監修する尚古集成館のお品で、薩摩切子の特徴である、色ガラスを厚く被せることにより生まれる「ボカシ」とよばれるグラデーションが美しい黄色の切子脚付杯です。
透明度が高く、透過性や光の反射により、見る角度により違う姿を見せ、手作りのぬくもりと「和」の雰囲気を醸し出している見事な薩摩切子の復元品をお買取させていただきました。
日本的な美意識と西洋への憧れが融合して生まれた薩摩切子。いわの美術では、薩摩切子の買取をしております。
薩摩切子は、江戸幕末のごく短期間にのみ薩摩藩でつくられた幻のカットグラスで、当時はその技術力と美術的価値から、薩摩ビードロ、薩摩の紅ガラスとも呼ばれて珍重されました。
薩摩切子は、その源流をイギリス、ボヘミア、中国に求めつつ、日本的な被せガラスのボカシという美しいグラデーションを持つ独特の美術品として、世界のガラス工芸史上でも高く評価されました。
明治初期に途絶えてしまう前の薩摩切子は、殆ど残っておらず、大変稀少価値・骨董的価値の高いものとなっていますが、復元品などの製作が島津家ゆかりの薩摩ガラス工芸などで行われ、鹿児島県指定の伝統的工芸品にもなっています。
いわの美術では、薩摩切子のお買取をしておりますが、大量生産品のお品の買取は買取が難しい場合が多く、今回買取のような尚古集成館監修の薩摩切子や、有名作家の箱書き・落款付の共箱のある薩摩切子の作品であれば、一点からでも高価買取対応となっています。薩摩切子のお買取に関して、ご不明点・ご質問などございましたら、お気軽にご相談ください。